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ディエゴ・ブオナノッテ ~蘇った小さな巨人~

第十八回
ディエゴ・ブオナノッテ
1988/4/19 アルゼンチン・イタリア
160cm 57kg
グラナダCF所属
ディエゴ・ブオナノッテ.png

今回紹介するのは、小さな小さなストライカー、ディエゴ・ブオナノッテだ。
身長は公式では160cmだが、実際は160cmもないだろう。
リーガ・エスパニョーラに所属する選手の中でも、最も小さな選手だ。
そして、最も起伏激しい人生を経験している選手でもある。

ブオナノッテが生まれたのは、
アルゼンチンのサンタフェ州。
そう、メッシの生まれ故郷と同じ場所だ。
南米随一の商業都市で、豊かな景観から観光地としても有名だ。
Santa_Fe_Montage.jpg

メッシより2ヶ月早く生まれ、
彼はイタリア語で「good night(おやすみ)」を意味する、
Buonanotteと名付けられた。
メッシと同じ成長ホルモン分泌異常を患っており、
幼い頃から背丈は他の子供より一回り小さかった。
しかし、アルゼンチンには救いの神がいるのだろう。
マラドーナ、サビオラ、アイマール、メッシ、そしてこのブオナノッテ、
体格に恵まれなかった子に神は慈悲を施した。
彼らには類まれなサッカーの才能を与えたのだ。

ブオナノッテは、幼少期から、自分の体の半分近くもあるボールを
まるで子犬と戯れるように扱いこなした。
吸い付くようなドリブルは小学校に上がる頃には会得し、
学校の先生はブオナノッテのその姿を見て驚愕したという。
学年が上がり、更にテクニックに磨きがかかったが、
やはり身長は周りの子供よりは小さいままだった。

同い年のメッシもまた、恵まれたボールテクニックを持ち、
2人の名前は街中で知られる程だった。
そして10歳の時、メッシがニューウェルスに入団する頃の話、
ブオナノッテはメッシを諦めたリーベル・プレート(の下部組織)に入団する。
中学校に入るまでは、メッシよりもブオナノッテの方が成功者であった。
13歳になった時、メッシはスペインのバルセロナのテストに合格
家族の移住と引き換えに成長ホルモンの治療の全額負担によってスペインに移った。
ブオナノッテはアルゼンチンに残り、
2人はここで大きく運命を分かつ事となる。

ブオナノッテはリーベルで着実に力をつけていき、
2006年4月9日、17歳の時にインスティトゥート・コルドバ戦でデビューした。
そして、2007年10月7日のボカ・ジュニアーズとのダービーマッチではキープレーヤーとなり、
それ以後はレギュラーに定着した。
当時のワールドサッカー誌による"エキサイティングな10代選手50人"に選出された。
卓越したテクニックを持つ小さなブオナノッテに、
リーベルのファンはかつての英雄達の姿を重ね、そして愛した。

そしてアルゼンチンサッカー協会も彼の才能に目をつける。
彼は2008年の北京五輪代表メンバー18人に選出され、
セルビア戦では距離のあるフリーキックを決めた

クラブでの人気は絶大なものとなり、
ゴールマシーン”ラダメル・ファルカオとのホットラインは破壊力抜群だった。
ファルカオとはプライベートでも仲がよく、
そのコンビネーションは完全に円熟していた。

↑ブオナノッテとファルカオが出演したadidasのCM。
 2人とも凄まじいスキルを披露する。

2人の活躍もあり、リーベルは2008年見事にリーグ優勝を果たす。
ブオナノッテにとってもリーベルにとっても、まさに天国の時期だった。
しかし、そのすぐ後に絶望が待っているのを彼らは知らなかった。


2009年、シーズン開幕。
連覇に向けてリーベルは上々のスタートを切る。
ブオナノッテもレギュラーとして相変わらずサポーターの声援を受けていた。
そして12月26日がやってくる。

クリスマスの翌日、
ブオナノッテは仲の良い地元の友人達と4人でドライブをしていた。
買ったばかりの車。運転手はブオナノッテだ。
ほんの数秒、彼はその数秒で人生を狂わせる事になる。

はしゃぎながら道を走行していると、
ブオナノッテはハンドル操作を誤って脇道に大きく逸れ、
大木に激突してしまう事故を起こす。
全身に激痛が走る。
車は最早、原型など留めていなかった。
乗っていたはずの友人達の姿がない。
彼らは窓を突き破って外に放り出され、3人とも車外で絶命していた。
ブオナノッテだけがシートベルトをしていた為、
彼だけは命は助かったのだ。

↑事故当時の報道。閲覧注意。

友人を失っただけでなく、彼が失ったものはそれだけではなかった。
肺を損傷したほか両腕と右肩(鎖骨)を骨折し、全治7ヵ月の重傷を負った。
そして獲得に名乗りを上げていたアトレティコ・マドリードとの移籍話も破綻となる。
更にメッシと久々の再会を望まれたFIFAワールドカップ2010への出場も夢と散った。

天国から地獄
ブオナノッテは後悔の日々を送る。
絶対安静の診断を受け、ベッドのテレビで同僚達の活躍を観る日々。
かつて同じ街でプレーしたメッシはアルゼンチン代表としてワールドカップに出た。
絶望とはまさにこういう事だろう。
ブオナノッテはそれでも懸命にリハビリを続けた。

そして驚異的な回復を見せたブオナノッテは、
2010年4月17日のゴドイ・クルス戦で招集メンバー入りして途中出場し、
4ヶ月ぶりの復帰を勝利で飾った。

そして翌2011年1月14日、
移籍金380万ポンドの5年契約でリーガ・エスパニョーラのマラガCFに移籍した。
しかし2010-11シーズン終了までは、
レンタル移籍という形でCAリーベル・プレートに残り、
シーズン後にマラガに移籍した。
マラガでは急激な環境の変化への適応に苦しみ、
出場は10試合に留まった。
そして今年の1月、同じリーガのグラナダCFへ完全移籍した。

ブオナノッテという選手の特長は、
小さな体に相応しい、
細かいタッチ繊細なボールコントロールだ。
そこに魅力の全てが凝縮される。
華奢な体で自分より大きな全ての選手に果敢に立ち向かって行く姿は、
観るものをハラハラさせるが、同時に勇気を与える。
また、あまりにも小さい為、審判もブオナノッテに対しては味方となる。
激しいチャージをしようものなら簡単に笛を吹かれてセットプレーを与えてしまう。
かといって足元からボールを奪おうというのは不可能だ。
細かいステップでするりするりと交わされてしまう。
メッシ程の強引さはないが、メッシよりも狭い所を抜けられる、
そういった選手がブオナノッテだ。
また、その華奢な体に似合わずミドルシュートもFWらしいものを持っている。
距離がそれなりにあっても、意表をつくシュートを放てるのは彼の切り札だ。

彼の弱点はそのフィジカルの弱さ
筋肉はしっかりしているが、いかんせん身長が低いため、
大柄な選手を相手にするのは到底不可能だ。
その為ポジショニング等の駆け引きは常に求められる。
更に、本人がポストプレーが出来ない為、
それが出来る相方を常に必要とされる事もネックだ。
ブオナノッテ自身で突破するにしても限界があるのだ。

しかし、彼が然るべき相方を見つけ、
環境にも適応したらば、
リーベル時代のように一大センセーションを巻き起こす事は可能だ。
今はまだ、秘められたブレイク候補だが、
今後のグラナダの補強や陣容次第で彼の名は知られる事になるだろう。

■ディエゴ・ブオナノッテ
スピード      |★★★★★★★★☆☆ 8
持久力      |★★★★★★★☆☆☆ 7
フィジカル   |★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 2
得点力     |★★★★★★★☆☆☆ 7
突破力     |★★★★★★★★★☆ 9
守備力     |★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
創造性    |★★★★★★★★★★ 10
メンタル    |★★★★★★★☆☆☆ 7
※ポテンシャル |★★★★★★★★☆☆ 8
伸びしろ     |★★★★★★★☆☆☆ 7

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