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小野裕ニ ~進化が止まらない和製ルーニー~

第二十八回
小野裕二
1992/12/22
170cm 62kg
ロワイヤル・スタンダール・ドゥ・リエージュ所属
小野裕二.png

第二十八回の紹介選手は和製ルーニーと呼ばれるSリエージュの小野裕二選手。
JリーグでもFマリノスに所属し若手期待の星として認知している方も多いだろう。
(横浜では「ハマの核弾頭」という物騒な愛称を付けられていたらしい)

小野といえば、高校生でありながらJ1に出場していた選手で、
「早熟」というイメージが強い人が多いだろう。
しかし、決して早熟なだけではなく、
小野自身がその世代では突出した能力を既に備えていた為の起用であった。
日本屈指の名指導者であり解説者でもあるミスターマリノスこと木村和司氏が、
その才能を認めて送り出したのだから、間違いない。
そしていとも簡単にクラブ史上最年少ゴール等の記録まで打ち立てる。
冷静に分析する木村氏をも「将来の日本を背負って立つ人物だ」と言わしめた。

小野はマリノスの下部組織でキャリアをスタートさせ、
マリノスユースで活躍する。
特に圧巻だったのは、
U-17サッカー日本代表に落選した2009年の高円宮杯全日本ユース。
トップ下として出場し、
磐田ユースとの決勝戦ではハットトリックに2アシストという大活躍を見せた。
その後背番号を10に登録。これが小野のトレードマークとなる。
マリノス(J1)に正式登録となった彼は、
高卒新人ながら10番を貰った時は一躍話題になった。


そして今年1月、本人の強い(海外挑戦への)希望によって、
川島永嗣や永井謙佑らが所属する
ベルギーの名門スタンダージュ・リエージュに移籍した。
契約は4年。

ベルギーのクラブの中でもリエージュは浮き沈みの激しいクラブで、
過去に八百長騒動や相次ぐ監督交代等で憂き目を見た時期もあった。
しかし2011年6月23日にデュシャトレ氏が新オーナーになると、
クラブは隆盛期を迎える。
それまでの欧州のみに囚われた保守的なイメージを打破し、
国外での有力選手の獲得と同時に、育成して高く売る礎を築く路線に変更。
積極的にスカウトを派遣し、
「能力は非常に高いのに、市場価値が低い選手」を、
実に買い物上手に獲得している。

川島は語学堪能で、能力も申し分なく当初から「即戦力」として迎え入れたが、
永井と小野については、日本の放映権を獲得するための、
いわば広告塔として獲得したと言っても語弊はなかった。
そしてデュシャトレ会長は、
昨年末に突如リエージュが属しているジュピラーリーグから、
同クラブを脱退させると発表。
そしてリーグの再編を隣国と合わせて行う、まさに革命的構想を発表する。

その内容がこうだ。
『ベルギーとオランダの強豪チームで構成する統一リーグを組織。
構想はスタンダールのほか、
アンデルレヒトといったベルギーの名門チームとアヤックス、
PSVなどオランダの強豪チームを
計20チーム(オランダ12、ベルギー8)を一つにまとめる』
というもの。
各国リーグ結果を参考に新リーグに移行する。
会長としては不退転の決意で
「仮にこのプロジェクトがうまくいかなかったらスタンダールはフランスリーグへの
編入を要望する」と現状のベルギーリーグに戻る考えがないとしている。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/1213/headlines
もし実現したら、イギリスのプレミアリーグのような、実に画期的な試みとなろう。

先ほど小野はクラブ側も加入当初は広告塔だったと話した。
リエージュは、前々から冬の移籍期間で補強したい戦力を明確にしていた。
『経験豊富なポストプレーヤー』だ。
しかし、永井も小野も、まったく逆のタイプ。
早熟だった小野は2010年に17歳でプロデビューしているとはいえまだ20歳になったばかり。

24歳の永井も昨夏のロンドン五輪では代表として活躍したが、
グランパスでプロとしてフルシーズンを戦ったのはわずか1季のみ。
さらに2人とも、ポストプレーを得意とするセンターフォワードではなく、
小野はサイドアタッカー、永井もスピードが売りのゴールゲッターだ。

よって2人の移籍が、クラブ側が日本市場への参入を狙った
「コマーシャル目的」であると決めつけられるのは、
むしろ自然の流れだった。
1月の雪の日、リエージュ郊外にある広大なトレーニング施設で並んで練習を眺めていた地元紙『SUDPRESSE』のイブ・ブシャール記者も、
「日本人選手の獲得は、会長たっての希望だったと聞いている。
日本にマーケットを拡大するための戦略に他ならない」と断言していた。

そんな中合流した小野は、その週末、
1月24日のKVコルトニク戦で、後半の52分から早くもデビューの機会を与えられ、
翌節のアンデルレヒトとの“ベルギー・クラシコ”でも54分から出場した。
しかしシーズン最大のビッグマッチとも言えるアンデルレヒト戦では
まったく自分の持ち味を出すことなく終わり、次戦以降はメンバーから外れた。
日本への一時帰国から戻った永井も
翌節のモンス戦で後半77分から出場したが、
次戦のチームシートに彼の名前はなかった。
翌週からリザーブチームでプレーすることになった2人だが、
その行程は決して悲観的なものではなかった。
短い途中出場で2人のチームへの順応具合をチェックしたレドニク監督は、
フレンドリーマッチに出場させて実戦経験を積ませた。

そこで小野は1ゴール3アシスト、
永井も大量得点とアシストで攻撃手としての存在感を発揮すると、
3月9日のルーベン戦では2人揃ってメンバーに名を連ね、
地元記者の予想を大きく裏切り、小野は初の先発出場。

前半ロスタイムに
左SBイエル・ファン・ダムが一発退場処分なったことで前半だけで退いたが、
22分の2点目のシーンでは頭脳的な体の動きで
得点者へのラストパスをうながすなど、才覚を発揮。
80分から出場した永井も、
ピッチに登場してわずか4分後に
4点目のゴールをアシストする勘の良さを披露して、
サポーターや地元メディアから絶賛された。

加入からわずか2ヶ月で評価をV字回復させ、
半年経とうとする今では、
彼ら日本人選手はリエージュにとって
「欠かす事の出来ない戦力」と言われる。
小野に至っては、「何故獲得したのか」と散々言われていた評価が、
今ではチームメイトからも、
「とくにユージはすごく良いね。
 このままいけば、
 彼は間違いなく来季はチームに欠かせない選手になる」
太鼓判を押されている。

永井も小野も、川島の存在が非常に大きいという。
言葉の壁があるリーグで、川島が通訳としてフォローしたり、
実生活でも悩みを相談出来る良き先輩として後輩の成長を支えている。
試合中は厳しいGK川島だが、
ピッチ外での面倒見の良さやそのまじめな人柄は、
ベルギー人からも絶大な支持を集める。
しかし、小野も永井も川島に頼ってばかりでは居られない。
家庭教師をつけ、フランス語と英語の勉強を日々続けている。
そういった努力をする選手たちだからこそ、
川島もサポートする気持ちになるのだろう。

さて、小野という選手の特長は何だろう。
プレーを見た人は必ずある世界的プレイヤーにスタイルが似ていると口にする。
筆者もその印象を受けた。
そう、イングランドが誇る世界的プレイヤー、ウェイン・ルーニーだ。
攻守にわたって、どの試合でも、どの場面でも、
実にハイレベルな動きを見せ、チームの大黒柱と呼ばれるスタイルだ。
小野はそのスタイルから、和製ルーニーと呼ばれるが、
今までの「和製~~」と違い、名前だけが先行している訳ではない。
攻撃時はプレースピードが速く、視野も広い。
そして日本人選手に欠けているシュート意識も極めて高い。
PA外からでも積極果敢にミドルを打つ。
パスも決定的なスルーパスを中田のように出し、
その攻撃センスは天才的と言わざるを得ない。

小野の持ち味はそれだけではない。
小野だけでなく永井にも言える長所だが、
彼らは本当に前線からのチェイシングを惜しまない。
献身的に、且つ効果的にボールを追い、
相手にプレッシャーをかけ続ける。
ボールを取れる所までいくのは稀だが、
チームの為にランを惜しまない姿が士気を高め、
戦術的な幅も広げる。
逆に相手にとってはゆとりを持ってプレー出来ない為、
非常に相手にしたくない連中に変貌する。
こういった前線からのプレスはルーニーを始め、
マンUの選手達が徹底している事だ。
走らない選手は使わない。
これは最早、フットボール界の世界共通認識だ。

小野に至っては、これといって弱点らしい弱点もないのも強みだ。
身長は低いが、彼のプレーを見る限り、それ程苦にしている様子はない。
空中戦では負けるが、元々そこで勝負する選手ではないと自覚があるため、
ルーズボールへの反応もすこぶる良い。
突破する際のフィジカルも20歳のそれにしては及第点以上だ。

クラブ(リーグ)の行末がまだ不透明ではあるが、
小野は近い将来の日本代表のキーマンになるべく、
日々鍛錬を続けている。
和製のルーニーの進化はまだまだ止まらない。

■小野 裕二
スピード      |★★★★★★★★☆☆ 8
持久力      |★★★★★★★★★☆ 9
フィジカル   |★★★★★★★★☆☆ 8
得点力     |★★★★★★★★☆☆ 8
突破力     |★★★★★★★☆☆☆ 7
守備力     |★★★★★★★☆☆☆ 7
創造性    |★★★★★★★★☆☆ 8
メンタル    |★★★★★★★★☆☆ 8
※ポテンシャル |★★★★★★★★★★ 10
伸びしろ     |★★★★★★★★★★ 10

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